なぜ植物には毛が生える?たった3日でわかるハツカダイコンの根毛の観察実験
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
カサカサに乾いた小さな種。一見すると眠っている小石のように見えますが、実はその内部には生命の爆発的なエネルギーが秘められています。今回は、中学1年生の生物で学ぶ「植物の生活と種類」の単元から、ハツカダイコンの「芽生え」をクローズアップしました。水を吸った瞬間から始まるダイナミックなドラマ。たった数日で劇的に変化する様子は、まさに生命の神秘です。「授業で使うならいつ植えればいいの?」という先生方の疑問にも答える記録となっていますので、ぜひその変化を楽しんでください。
🌱 0日目 実験スタート!「休眠」から目覚めるスイッチを入れる
5月10日午前11時、ハツカダイコンの種を水に浸しました。植物の種は乾燥状態では「休眠」していますが、水を得ることでそのスイッチが入り、成長を始めます。今回は比較のために以下の2種類を使用しました。
- 左側:サカタノタネ(青色の種・コーティングされています)
- 右側:ダイソー(茶色の種)

📅 1日目 午前7時 – たった1日で殻を破る生命力
なんと、たった1日で種から小さな芽が顔を出しました!
植物の発芽には、「水・適当な温度・空気」の3つの条件が必要ですが、ハツカダイコン(二十日大根)はその名の通り成長が非常に早いのが特徴です。種の中に蓄えられた栄養分を使って、一気にロケットスタートを切りました。種の違いによる成長の差はあるのでしょうか?さらに観察を続けます。

📅 2日目 午前6時 – ミクロの毛「根毛」のミステリー
芽がしっかりと伸びてきました!

この成長力には驚かされますね。双葉の形もはっきりとしてきて、植物らしさが増してきました。ここで注目したいのが、中学理科のテストにもよく出る重要な器官、「根毛(こんもう)」です。根の成長をチェックしてみましたが、不思議なことに根毛が観察できたものとできなかったものがあることが判明しました。
- 根毛が観察できたもの:白いフワフワした毛がびっしり生えています。

- 根毛が見られなかったもの:ツルッとしています。

そもそも、なぜ植物はこんな細かい毛を生やすのでしょうか? それは、「表面積を広げて、水や水に溶けた養分を効率よく吸収するため」です。では、なぜ今回は違いが出たのでしょう?
- 吸水量の微妙な違い
- 種の品種による成長スピードの差
- 置かれた環境のわずかなムラ
などが考えられます。「教科書通りにいかない」ことこそが、自然観察の面白さであり、科学の入り口です。
📅 3日目の真実!すべての芽に根毛が出現
翌日さらに観察を続けたところ、すべての芽から根毛が確認できました! 🎉

結論として、植えてから3日ほどで根毛が出そろうようです。教員の皆様、授業で根毛を観察させたい場合は、授業の3日前に水につけ始めるのがベストタイミングといえそうです。
🌟 まとめ:小さな種から学ぶ大きな科学
🌱 ハツカダイコンの発芽観察でわかったこと
- 1日で芽が出始め、生命活動のスイッチが入る。
- 根毛の出現には個体差があるが、3日目にはすべての芽で確認できる。
- 根毛は表面積を広げ、生きるための水を必死に探す植物の知恵である。
植物の成長には水、温度、光などさまざまな要因が複雑に関わっています。今回の観察を通して、単に「育ったね」で終わらせず、「なぜ白い毛が生えてくるの?」「なぜ個体差があるの?」と問いかけることで、より深い科学的な理解につながるのではないでしょうか?
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